鳴き声

猫が自分の死に際を知っていてその時がいよいよやって来ると いなくなったり 隠れようとするみたいに 見えない答えを 生き物は持ち歩いてる
おじいちゃんがもうすぐこの世界からいなくなる そう言われてから家族の時間がまた少し変わった気がする
生きてる間は ほろ苦い思い出がしっかり刻まれて残ってるしそれが生きる餌になる時だってあるんだけど 死を前にしたらそんなものもどうでもよくなるみたいだ、ただそこにいて カッハッハーって笑ってることがもう事実になる。映写機のように色んなシーンが身体の雨のなかで浮かんでる。
立てなくなっても煙草を吸い続け 侵食された腹部が膨れ上がっていても ラーメン食べたいと言って食べるおじいちゃんと 残された時間いっぱい笑いたいな○
認知症もすこし入っていて 不思議な宇宙がおじいちゃんの中にはあって 会話していると急に引き込まれる  わくわくする。
ずっと前からあるラジカセを昨日買ってきたばかりや、と言ったかと思えば 2つが3つになったり さっきまで一緒にいた母のこと 今日は夜勤でおらんのか?と言ったり そしたらまた急にカセットの話になってそこは ハッキリしていたり
マーブル色の感覚が ギリギリのところで生きてるのを感じさせる
おじいちゃんと音の柔らかさについて話せたのは私の宝だ な